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 【週刊・読書北海道メール版】 復刊第13号(通巻144号)  1999/3/9発行
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=====【今週の目次】=========================================================
〔Colum:本と批評〕
1)月刊漫画時評2(阿部 幸弘)  マンガに描かれる援助交際
〔News:本の情報〕
2)新聞書評インデックス−99年3月7日掲載分
3)今週のベストセラー−札幌市中央区編
〔Colum:北海道の本と文化〕
4)北海道出版史稿・昭和篇3(出村 文理)戦前期 東京に進出した北海出版社
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〔Colum:本と批評〕
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●月刊漫画時評2(阿部 幸弘) マンガに描かれる援助交際

  こしばてつや漫画/山本英夫原作『援助交際撲滅運動』(講談社 1200円)ほか
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 ◆作品が描けなかったもの◆

 こしばてつや・漫画/山本英夫・原作の、『援助交際撲滅運動』(講談社 1200円)
を一読してまず思ったことは、ここには援助交際という現象は描かれていない、とい
うことだった。決して作品がつまらないわけではない。もとより、こしばの画力は青
年マンガとして一流の水準にあるし、山本の原作も、エピソードを次々にたたき込ん
で一気に読ませる力がある。けれども、セックスとバイオレンスが盛り合わされた、
よくできたエンタテインメント以上のものではないのだ。だから、マンガとしてけな
す要素は特にないにしても、タイトルが煽る過激さや斬新さは見当たらず、何とも物
足りない印象を与えることになる。この作品に描かれた、憎悪と暴力の悪循環も性犯
罪の形態も、古典的なドラマの部類に入る。
 私は、援助交際の実態を覗き見したいという欲望を、この作品が満足させてくれる
と期待したわけではない。いや、それはそれでエンタテインメントとして、作品に含
まれていてもいっこうにかまわない。私の出歯亀気分を満たしてくれれば、それはそ
れで素直に喜ぼう。ただ、援助交際という現象は、従来の社会現象理解の方法では割
り切れないと感じられる。もちろんこれは、根拠のない筆者の直感にすぎない。けれ
ども、売春という文脈からであれ、新しい消費現象という見方であれ、あるいは、新
種の“断絶したコミュニケーション”の形態としてであれ、マンガ作品にはこの直感
に応える何かを(少なくとも私は)期待してしまう。そう考えると、『援助交際撲滅
運動』という作品が正に<描けなかった>、ドーナツの穴のような位置にこそ、援助
交際という現象のポイントがあると考えられる。

 ◆読者(=男)とは一体何なのだ◆

 では、青々しくぎこちない性体験の記憶を、文字通りセンチメンタルに描く、榎本
ナリコの『センチメントの季節』(小学館 876円、現在3巻)ではどうか。この短編
集には、少女と中年男(=“オヤジ”)という組み合わせで、いくつかの援助交際が
登場してくる。そして、看板に偽りなく、どの作品もセンチメントで淡くにじんでお
り、刹那的な恋愛物語として十分に機能する水準に達している。
 初め私は、この作品の存在が非常に不快に思えた。もしかして、どこかで中年男が
一人、目を潤ませ、そのかすんだ視野の中でこの作品をおセンチに味わっているのか
と思うと、虫酸が走る思いがしたのだ。しかし今は、少し見方が変わった。この物語
の“センチメント”を必要とする中年男性がいるなら、彼は、自分の社会的役割や社
会的責任というもう一つの夢からは、曖昧ながら半分は醒めかけている。その意味で、
夢にどっぷり浸って眠りこけている者よりはまだしもマシなのかもしれない。
 そのことが分かりやすいのは、例えばこんな短編だ(第2巻・春の章・第6話「花
見る人生」)。メガネをかけた硬くて気真面目そうな女子高生が、ある朝、白髪混じ
りの冴えない初老の男に「ピクニックに行きませんか」と声をかけられる。男は実は、
先月会社が倒産してしまった中小企業の元社長だった。死を想いながらのあてないド
ライブの途中で、気まぐれに少女に声をかけたのだった。彼と同様に日常の中で窒息
していた少女は、初老の男に付いていく。そして、この非常にウブな二人の男女にと
って、制度外の許されざるセックスは、十分なアバンチュールであった。生きること
にセンチメンタルなロマンの隙間を見付けることができた二人は、(おそらく各々に
生きるために)翌日街へ戻っていく。
 “金や名誉を得ても、たいしたモノを得られないことに気付いた中年以上の男性の
ための少女マンガ”――そんなふうにこの作品のスタイルを定式化してもいいだろう。
(ただし、ここでの少女マンガとは、少女向けの意味でなく、叙事よりも叙情を重視
し、内面を語るためのマンガの中の一形式という意味。)
 ただひとつ、やっぱり気になることがある。読者の問題だ。榎本ナリコは、作家と
して上手い。様々なシチュエーションをセンチメンタルな味付けで、一遍のマンガに
編む手さばきはプロだと思う。しかし、肉体やアバンチュールを女性に提供してもら
い、その上、メンタルな部分(=センチメント=夢)までをも一貫して女性に供給し
てもらっているだけの、読者(=男)とは一体何なのだ、という気にならないだろう
か? 頭が痛くなる。

 ◆最も援助交際の姿に肉薄◆

 さて、松本充代の『潜む声 鏡の中の遺書 その他の短編』(アスペクト 880円)
と比べてみる番が来た。おそらく前記二作に比して、今の所、最も援助交際の姿に肉
薄しているのが松本充代だ。感情を排して冷静に、人物それぞれの主観も含めて事実
を淡々と並べるのが、近ごろの松本のスタイルだ。そこにじわりと広がってくるリア
リティーは、読者を知らず知らず蝕むような静かな怖さがある。
 この短編集の中で、正面から援助交際を扱った「Weed of the Shallows」(“浅瀬
の雑草”の意)を見てみよう。「普通の高校生をやっている」「何も不満がない」主
人公の女子高生・久美は、“売り”をやっている。どこかの会社の役員風の、腹の出
た中年男とのベッドシーンはこうだ。初め「おじさんと定期的に会わない?」と誘い
水をかけていた中年男は、途中から乱暴に少女を押し倒し、「高校生のくせになんて
インランなんだ」と言いながら、「この売女!」「売女!」とわめきつつ挿入し欲望
を満たす。久美は黙ったままだ。
 援助交際の基本的ルールは、女子高生は若い性をオヤジに提供し、オヤジは金を提
供するということだろう。日常からの逸脱としての、スリルやロマンを得るかどうか
は、ある意味でオプションみたいなもので、それぞれの幻想とも勝手とも言える。ま
して、そこに本物の“センチメント”が、存在するかしないかは虚々実々であり、援
助交際のルールとは関係がない。いずれにしても、オヤジたちの“社会正義”に基付
く説教は、予め少女らによって料金内に見積もられている。聞いた振りをするか受け
流すかされる説教は、誰かに伝わるメッセージなどでは端からなく、むしろ、オヤジ
の側にとって自分の罪悪感を消去するための便利な呪文として機能する。つまり、オ
ヤジたちがその晩、“自分は正しい”という幻想の中に居続けられるのも、実は料金
に見合った限度内での、少女たちのサービスなのだ。
 松本は、この短編を発展させたと想われる長編作品『Drop by Drop』(アスペクト
 1000円)を描いている。そこにも“売り”をやっている少女・ルミが登場するのだ
が、「肉体と心は別物」と考えて生きていた彼女が、ついに心と体が一つになってシ
ンクロせざるを得ない、ある深い悲しみ(自らも荷担した結果の姉の死)に出会うと
いう作品だ。

 ◆一人称の立場から描いたマンガ◆

 松本は、現時点で最もクールに援助交際という現象を描けていると、先に私は書い
た。しかし、『Drop by Drop』でのこの、“心と体は一つ”というメッセージは、は
たして高校生の読者に届くだろうか? 私はちょっと疑問である。感情に振り回され
ず、目を濁らせることもなく、起こっていることをただ見つめる松本の創作姿勢は素
晴らしい。だが、たとえ対象に限界まで肉薄しても、最後の最後には第三者(=他人)
の視点とならざるを得ないだろう。
 ここまで来て分かることは、『援助交際撲滅運動』で感じたドーナツの穴とは“売
り”をやる本人の視点から語られる言葉、ということになる。ここで取り上げた三作
品のどれも、この穴を埋めてはいない。
 では、援助交際を一人称の立場から描いたマンガは、これからどのように登場して
くるだろうか? 未来には、二つの帰結が考えられる。
 1 一人称のごく普通の少女マンガとして登場する。(少なくとも感性のレベルで
は、これはすでに始まっている。だが、どこまでポピュラーな題材に成るかが分から
ない。)
 2 行動する者は語らない、また、語る必要がない。それゆえ、そのような作品は
厳密には出てこない。
 はたしてどちらであろうか。

☆筆者の阿部幸弘(あべゆ きひろ)氏はマンガ評論家、精神科医。『ガロ』『ユリ
イカ』『週刊読書人』『北海道新聞』など多くの雑誌、新聞に評論を執筆している。
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〔News:本の情報〕
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▼新聞書評インデックス(3月7日掲載分)
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○北海道新聞○
ヘルムート・シュテルン著『ベルリンへの長い旅』(朝日新聞社)−評者・尾高忠明
古森義久著『透視される日本』(文藝春秋)−評者・副島隆彦
H・O・ヤードレー著『ブラック・チェンバー』(荒地出版社)−評者・吉田一彦
辻仁生著『五女夏音』(集英社)−評者・原宏一
内藤正敏著『日本「異界」発見』(JTB)−評者・山本ひろ子

○朝日新聞○
だめ連編著『だめ連宣言!』(作品社)−評者・久間十義
村上陽一郎著『安全学』(青土社)−評者・西垣通
朝日新聞経済部著『金融動乱』(朝日新聞社)−評者・大嶽秀夫
洛中建築膝栗毛隊著『京都現代建築ほめ殺し』(洋泉社)−評者・斎藤美奈子
神崎繁著『プラトンと反遠近法』(新書館)−評者・木田元
木畑洋一編著『大英帝国と帝国意識』(ミネルヴァ書房)−評者・山室信一

○日本経済新聞○
下斗米伸夫著『ロシア世界』(筑摩書房)−評者・江頭寛
ヒュー・コータッツィ著『日英の間で』(日本経済評論社)−評者・細谷千博
坪内祐三著『靖国』(新潮社)−評者・猪瀬直樹
メリッサ・ミュラー著『アンネの伝記』(文藝春秋)−評者・池田浩士
俊藤浩滋ほか著『任侠映画伝』(講談社)−評者・白井佳夫

○毎日新聞○
エドマンド・ウィルソン著『愛国の血糊』(研究社出版)−評者・丸谷才一
松本健一著『歴史の現場』(五柳書院)−評者・藤森照信
G・ハリスほか著『科学技術者の倫理』(丸善)−評者・村上陽一郎
荒木博之著『のっぺらぼうの日本人』(毎日新聞社)/西村肇著『古い日本人さよう
なら』(本の森)−評者・森谷正規
光田明正著『「国際化」とは何か』(玉川大学出版部)−評者・中村桂子
高井有一著『高らかな挽歌』(新潮社)−評者・清水徹

○読売新聞○
五味文彦著『平清盛』(吉川弘文館)−評者・嵐山光三郎
田勢康弘著『島倉千代子という人生』(新潮社)−評者・田辺一雄
山下晋司著『バリ 観光人類学のレッスン』(東京大学出版会)−評者・竹田いさみ
天童荒太著『永遠の仔』上下(幻冬舎)−評者・城戸朱理
タイモン・スクリーチ著『江戸の思考空間』(青土社)−評者・港千尋
岡田猛ほか編『科学を考える』(北大路書房)−評者・野矢茂樹

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▼今週のベストセラー   ◇札幌・リーブルなにわ(2月28日〜3月6日)調べ◇
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1 乙武洋匡著『五体不満足』(講談社)1,600円
2 桑原水菜『真皓き残響 夜叉誕生』(集英社)1,200円
3 北海道新聞社編『拓銀はなぜ消滅したか』(北海道新聞社)1,500円
4 所ジョージ著『四字列語』(新潮社)762円
5 大野晋著『日本語練習帳』(岩波書店)660円
6 桐生操著『本当は恐ろしいグリム童話2』(ベストセラーズ)1,500円
7 千葉暁著『聖刻群竜伝4』(中央公論新社)850円
8 赤瀬川原平著『老人力』(筑摩書房)1,500円
9 井村邦彰撮影『L'Arck〜en〜Ciel LIVE』(集英社)4,571円
10鈴木光司著『バースディ』(角川書店)1,400円
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〔Colum:北海道の本と文化〕
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★北海道出版史稿・昭和篇3(出村文理) 戦前期 東京に進出した北海出版社
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 ◇1927年から「北海道年鑑」を刊行◇

 『北海道年鑑』は北海道新聞社の著名な出版物であり、長く刊行されているもので
ある。同じ書名の「北海道年鑑」が、札幌の北海出版社から1927(昭和2)年から19
32年まで刊行されたことがある。      
 北海出版社は、1926(大正15)年に石田磊三により札幌市に創立された。石田は18
89(明治22)年に根室市に誕生、明治42年に札幌師範学校を卒業、道内小学校の訓導
・校長を歴任、札幌師範学校訓導を最後に教員を退職、1924年に、前回とりあげた淳
文書院の湯浅大五郎等と共に教育結社・閃光社を設立、教育関係関係書(『閃光叢書』
3冊)を刊行した。閃光社を大正15年に解散後、北海出版社を設立した。1948年に死
去。
 明治中期から、北海道の教育、特に小学校教員向け雑誌(『北海之教育』など)や
教科教育指導書が、盛んに刊行されるようになった。閃光社・北海出版社や今後とり
あげる北海教育評論社がその流れを汲んだものと言えよう。
 1927年当時の北海出版社は南1条西13丁目に所在し、最初の出版として『北海道年
鑑』を刊行した。年鑑類の編集は、多くの労力と経費を要するものである。同社の『
北海道年鑑』は、1927年から1932年までの6年間にわたり刊行された(昭和2・4・
5・7年版は北海道立図書館北方資料室蔵)。
 北海出版社の年鑑刊行は、当時の道内大手新聞社に影響を与え、小樽新聞社が『北
海道・樺太年鑑』を1934(昭和9)年頃から1942(同17)年まで(昭和12−13年版以
外は北海道立図書館北方資料室蔵)、現在の北海道新聞の前身・北海タイムス社(札
幌市)が『北海タイムス年鑑』を1939(昭和14)年頃から1942(同17)年まで(全て
北海道立図書館北方資料室蔵)、それぞれ刊行した。
 1942年の戦時体制の新聞統制令で、上記の二つの新聞と道内各地新聞社の統合によ
り、現在の北海道新聞社となった。このため、二つの新聞社刊行の年鑑は、1943年に
一本化されて『北海道年鑑』となって、今日に及んでいる。
 因みに、当時の樺太では、敷香町の樺太時報社が『樺太年鑑』を1930(昭和5)年
から1940(同15)年頃(?)まで刊行している。

 ◇北海出版社が刊行した出版物◇

 北海出版社は上記年鑑の他に、教科教育指導を含む教育関係・青年関係及び郷土史
関係のものを刊行した。1931(昭和6)年には東京に進出、この進出は道内の出版社
の最初のものであった。以下は同社刊行の書籍書名である(刊行年代順)。
  福井茂三郎著『連続観念の養成を主とする算術教材の取締法』(1927 1928 1933 道
立図書館北方資料室蔵)
 飯田広太郎著『読方読本』(1928)  
 中島峻蔵著『現代の秘境新聞王国の解剖』(1928)
 中島峻蔵著『北方文明史話』(1929 1940再刊 道立図書館北方資料室蔵)
 若木勝蔵著『尋常小学算術学習帳』(1928)
 斉藤渓石著『教授細目日案兼用新制小学書方指導書』(1931 東京で刊行)
 樫原信二著『人物陶冶郷土教育の根拠と其の実際研究』(1931)
 安藤勇・安達隆世共著『丁沫の土に親しみて』(1932 東京で刊行)
 町野久作著『スキー読本』(1932)
 野瀬顕寛・永塚泰蔵・共著『新小学校国語読本指導書』(1932 東京で刊行)
 北海道庁編『単級複式編成教育研究録』(1932)
 札幌市教育会編『北海道郷土地理教授要義』(1933)
 北海出版社編『尋常小学校北海道地理書』(1933)
 水間一人著『体操教育原論』(1933 道立図書館北方資料室蔵)
 福井茂三郎著『統合及び連続観念養成を主とせる算術教材の取締法』(1935)
 北海出版社編『北海道小学校経営資料』(1935)
 吉田 巌著『心の碑−アイヌ教員の体験的告白記』(1935 道立図書館北方資料室蔵)
 吉田熊次著『日本教育の理念』(1936)
 渡部政盛著『農村青年学校の教育』(1935 東京で刊行)
 河野省三著『本居宣長』(1937 1938 1940 1943  東京で刊行)
  中島九郎著『佐藤信淵の思想』(1941 東京で刊行 道立図書館北方資料室蔵)
  フォーベル著『インド・セイロン・ジャワの仏教美術』(訳・山本晃紹 1944 東京
で刊行)

 ◇戦時統制下、北方出版社に統合◇

 北海出版社は札幌と東京で出版活動をしていたが、戦時体制の強化が始まると、出
版傾向が教育関係の統制が強まり、伝記・アジア美術等へと移行して出版活動は停滞
した。上記の書籍の中で、北海道の史話や伝説を記述した中島峻蔵著『北方文明史話』
及びアイヌを主題とする吉田巌著『心の碑』は、今日でも高い評価を得ている。同社
は、戦時中の1944(昭和19)年に戦時体制強化のため政府の出版統制団体・日本出版
会による全国出版事業体の整理と印刷用紙配給統制から、前回の淳文書院・北海教育
評論社及び北方文化出版社と合併統合して、北方出版社(社長・地崎宇三郎)となっ
た。北方文化出版社の地崎宇三郎を除けば、北海教育評論社の石附忠平、淳文書院の
湯浅英五郎並びに北海出版社の石田も札幌師範学校出身であった。

☆出村文理(でむら・ふみただ)氏は北海道書誌研究者。北大工学部事務部勤務の傍
ら研究をすすめ、最近は「出版編集者・池田秀男と鶴(ぐるす)文庫」(『さっぽろ
市民文芸』15号所収)を発表している。

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